刺繍の歴史/History of Embroidery
刺繍とは、平面、立体などの装飾を加える技術です。
とても古い作品には最近の作品よりもかなり精巧なものがたくさんあります。基本的なステッチに関しては、すでに出来上がっていたといえます。それにもかかわらず、刺繍と芸術運動には密接な関連があることが分かります。
刺繍の発祥と発展
刺繍の発祥を正確に知ることは不可能に近いことでしょう。しかし、糸と針は有史以前に発明されていました。遠い昔、刺繍が文化交流において重要な意味を持って以来、針と糸はSumerとBabylonのそばで、刺繍の発展、エジプトの影響、そしてローマと地中海沿岸などの重要な各場面において、その役割を果たしてきました。
紀元前15000年、後期旧石器時代、針が出現しています。馬の毛や鹿の腱を裂き、それらで皮を縫い合わせていました。
最も古い作品の1つは、初期青銅器時代に作られたスカンジナビアの花網ステッチの縁取りで飾られたチュニックです。他には、シベリアのアルタイ山脈で発見されたアップリケ刺繍(アルタイ刺繍)です。
古代エジプト人は織物を編むため、長い繊維に裂くことができた麻や亜麻を使っていました。最も古い刺繍もエジプトの墓から発見されました。そしてこの時代に全てのステッチが存在していたことが分かりました。例えばロンドンにあるThe Victoria Albert博物館は、ウールでチェーンステッチ刺繍された木の模様の壁掛けを保存しています。他にも刺繍は、墓壁に描かれた女王のブラウスにも見ることができます。エジプト人は織物を装飾する技術力が高く、ユダヤ人らに刺繍を教えていました。
地中海でこれらの技術が栄える前から東欧諸国ではすでに発展していました。Phrygia沿岸地方は刺繍作品をギリシャやローマに輸出していたので、後にローマでは刺繍をする人をPhyrgioと呼びました。
インドの人たちは、北西部アジアの人々、そして後にエジプト人に綿を伝えました。インドで織られた綿モスリンは上質で、とても精巧に刺繍されていました。当時の刺繍作品の美しさはHomerの詩に書かれています。
糸に金銀を混ぜるアイデアはアジアが発祥とされています。純度の高い薄片を得るために、金銀をつぶし金箔、銀箔と呼ばれる箔状のものが加工され作られました。
紀元前50年頃、ローマ帝国はまだヨーロッパで普及していなかったシルクの品質を高めました。シルクは同じ重さの金と同じ価値があったとされています。養蚕シルクは”神の繊維”と呼ばれ、紀元前1200年頃中国で始まりました。その後、ペルシア、インド、エジプトでシルクは早くから使われていました。
刺繍の装飾はローマで発展しました。凱旋のための高僧の外衣などは、紫色に染められ金刺繍の縁取りが施されました。ローマ帝国の首都をBysantiumに移した西暦の始まりに、女性の衣装も至上のものとなり、宝石、金細工、刺繍などで着飾っていました。Bysantiumのアトリエでは後のヨーロッパの職人たちが東洋から伝わったの刺繍技術を長い間修行しました。
その後刺繍はBysantium、そしてSassanidの2つのスタイルで発展しました。中東の刺繍は北部の国々よりも格段に発展していました。Sassanidのモチーフで最も現れるのが、丸、ひし形、多角形などの幾何柄やグリフィン、鷲、ライオンなどの動物柄で、それらを繰り返し配列していました。
お互いに競争をし、真似をし、影響し合ったBysantiumとSassanidのファッションの発展を多くのアラブ人著者が示しています。最終的にBysantiumが優勢となり、織物技術の中心となりました。
そして、相次ぐイスラム勢力の侵攻は東洋の織物や刺繍をヨーロッパに伝えました。最初は711年、Saracenがスペインに侵攻した時です。織物や刺繍は瞬く間に広まり、9世紀にはスペイン織物は有名になり、イタリアとの間で貿易が盛んに行われました。
また、この時代の刺繍のもう1つの魅力と言えばSicilyです。そこは9世紀Saracenの侵攻とその後のNormaneanによる侵攻で、2つの影響のるつぼとなりました。Saracenが布産業を始め、Normaneanが後のPalermoで発達させました。Normaneanのギリシャ遠征中の1145年、CorinthiaとArgosから刺繍職人を連れ帰ったので、2つの異なる特色から作られたNormanean織物は有名になりました。Saracenの侵攻以来、Sicilyはヨーロッパにシルクを供給していました。NormaneanによってSicilyが征服されると十字軍など貴族たちによって織物貿易はさらに発展しました。
Sicilyの刺繍、織物のアトリエは13世紀に頂点に達しました。しかし、”シチリアの晩祷”によりアトリエも崩壊し、Lucca、Venice、Genoa、SiennaやFlorenceに織物製品の中心を移しました。十字軍の卓越した伝達手段によってアイデア、芸術、技術などは他の国々に広まっていきました。
11世紀十字軍統制下で、ヨーロッパの人々は東洋に向け旅をしました。貴族はPalestinaに鉄を運んでいき、彼らはたびたびBysantiumやアジア小国から刺繍の施された服、馬具、靴やカーペットなどを持ち帰りました。
Constantinople占領の間、敬虔な戦士たちは東洋の刺繍織物を持ち帰りました。その後、ヨーロッパの刺繍はさらなる発展を遂げました。十字軍は刺繍の発展を助けました。
刺繍、宗教、アート
教会の影響下の中世、ヨーロッパは教会刺繍の中心となり多色彩を使い、刺繍は信仰の証明と神を称え誇張する象徴となりました。
シンボルをたくさん使っている聖職者の衣は礼拝式などで徐々に重要な役割を持つようになり、儀式を行うものをより尊くしました。豪華で珍しい東洋織物の面影もあり、その他の衣装とは明らかに違いました。vandalismから逃れ、現在でも大聖堂や美術館に多く現存しています。また、奢侈禁止令は何世紀にも渡り衣服など豪華な装飾を制限しようとしましたが、教会刺繍には全く適用されませんでした。
12世紀前半までの装飾デザインはBysantiumの面影を残しており、13世紀の初めには植物モチーフが多く出ました。そして徐々にヨーロッパの国々は、その国特有のスタイルを確立していきます。
Renaissanceの間、刺繍作品はとても完成度の高いところまで達しました。16世紀のパリではその時代の著名な芸術家が糸を使った微妙なグラデーション陰影の見本を示しました。この頃のイタリア作品はとてもすばらしく、色彩豊かなガラスビーズを使ったりとヨーロッパ中の手本となっていました。
18世紀には金糸、銀糸などの装飾的織物が、刺繍でさらに美しくなりました。しかし、刺繍スタイルがいくら発展しても、外見は教会シンボルなどを用いた豪華絢爛のままでした。
中世より祭壇の前飾り、マット、ベールなど教会は豪華に飾られるようになりました。16世紀初頭、城や大聖堂の完成とともにタペストリー、刺繍などそれらを飾る国内産業は、ヨーロッパ中で王のひいきによって発展、定着し、宗教刺繍にさらに勢いを与えました。
宗教アートは世俗的な豊かさのために、宗教への敬虔さと崇拝の精神を犠牲にして派手になっていきました。伝統を守ることが他のどんなものよりも優れていたにもかかわらず、教会は発展し、芸術運動に従事していたアーティストによって宗教刺繍は多くの影響を受けました。
宗教以外の刺繍は豪華さの象徴で、教会同様、王宮が主なパトロンでした。そのスタイルは時代とともに発展しました。驚嘆させなければならなかった宗教刺繍とは違い、宗教以外の刺繍は豪華さ、高い身分を現す役割を担っていました。刺繍は長い間特別な階級の特権でありました。一般家庭に刺繍が見られるようになるのは17世紀以降になります。
刺繍、娯楽、アート
1770年にプロのためではない、一般向けの刺繍モチーフパターンが女性誌に登場しました。これらの雑誌は衣装のための装飾品を提案し、その後19世紀後期に衿、ランチョンマットやクッションのモチーフなどが同じページに掲載されました。それは”女性たちの作品”の勝利でした。もちろんプロのものとは違いましたが、刺繍をする人たちのモチベーションは同じで、ファッションやライフスタイルを美しく飾ることでした。
公の身分とは関係なく、刺繍は社会のどの階級にも広がっていきました。
20世紀、刺繍アート
20世紀初頭は、女性ファッションの変化の時として特徴づけることができます。その当時、パリには多くの高級仕立て屋があり”Haute Couture”の線引きも曖昧でした。イギリスから来たCharles Frederick Worthが”Chambre Syndicale”(パリ・オートクチュール協会)を設立しました。
20世紀後半に、ファッションの変動とトレンドに応じて、デザイナーはアトリエをかかえ、さまざまなパターンを作成しました。刺繍は今でもHaute Coutureの中で特別なテクニックとして残っています。しかし現在、多くの刺繍製品は機械産業として製造されています...。
伝統的な刺繍、または機械による刺繍はそれぞれ表現手段の1つです。今日では趣味として自身の洋服をデコレーションしたり、アクセサリー、インテリアを作る手段として使われています。ヨーロッパで刺繍が長い間権威など特権を現す手段として用いられたのだとしたら、今日刺繍は自己表現の象徴として用いられているでしょう。
刺繍職人の技術は時代とともに発展しました。しかしテクニックが出来上がったものだとしても、これからも良いデザインの探求は終わることなく続くことでしょう。時代を表し続けた刺繍は、これからも私たちの生活を美しく彩り続けるでしょう。
社名 株式会社タルティ
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